ブッダの言葉 ( ダンマ・パダ ) 11

                         ブッダの言葉 ( ダンマ・パダ ) 11

 
 
 
善き人々は遠くにいても輝く、 ーー 雪を頂く高山のように。
 
つとめはげむのを楽しめ。 おのれの心を護れ。 
自己を難所から救い出せ。 ーー 泥沼に落ちこんだ象のように。
 
事がおこったときに、友だちのあるのは楽しい。 どんな事にでも満足
するのは楽しい。 善い事をしておけば、命の終るときに楽しい。
あらゆる苦しみを除くことは楽しい。
 
世に母を敬うことは楽しい。 また父を敬うことは楽しい。
世に修行者を敬うことは楽しい。 世にバラモンを敬うことは楽しい。
 
どれだけ親孝行をしても、しすぎるという事はない。 なぜなら親は
あなたを産み、育て、そして この世を見せてくれたからである。
 
老いた日に至るまで戒めをたもつ事は楽しい。 信仰が確立している
事は楽しい。 明らかな知恵を体得することは楽しい。 
もろもろの悪事をなさないことは 楽しい。
 
愛欲に駆り立てられた人々は、罠にかかった兎のように、ばたばたする。
それ故に修行者は、自己の離欲を望んで、愛欲を除き去れ。
 
手をつつしみ、足をつつしみ、ことばをつつしみ、最高につつしみ、
内心に楽しみ、心を安定統一し、ひとりで居て、満足している、
ーー その人を ( 修行者 ) と呼ぶ。
 
口をつつしみ、思慮して語り、心が浮わつくことなく、事がらと真理とを
明らかにする修行者 ーー かれの説くところは やさしく甘美である。
 
修行者よ。 この船から水を汲み出せ。 汝が水を汲み出したならば、
船は軽やかに やすやすと進むであろう。 貪りと怒りとを断ったならば、
汝はニルヴァーナ ( 安らぎ ) に おもむくであろう。
 
修行者は、身も静か、ことばも静か、心も静かで、よく精神統一をなし、
世俗の享楽物を吐きすてたならば、( やすらぎに帰した人 ) と呼ばれる。
 
バラモンよ、流れを断て。 勇敢であれ。 諸々の欲望を去れ。
諸々の現象の消滅を知って、作られざるもの ( ニルヴァーナ ) を知る
者であれ。
 
太陽は昼にかがやき、月は夜に照らし、武士は鎧を着てかがやき、
バラモンは瞑想に専念してかがやく。 しかし ブッダはつねに威力もて
昼夜に輝く。
 
悪を取り除いたので ( バラモン ) と呼ばれ、行いが静かに休まっている
ので ( 道の人 ) と呼ばれる。 おのれの汚れを除いたので、そのゆえに
( 出家者 ) と呼ばれる。
 
身にも、ことばにも、心にも、悪い事を為さず、三つの所について慎んで
いる人、 ーー かれをわれは ( バラモン ) と呼ぶ。
 
螺髪を結っているからバラモンなのではない。 氏姓によってバラモン
なのでもない。 生まれによってバラモンなのでもない。 真実と理法とを
まもる人は、安楽である。 かれこそ真のバラモンなのである。
 
蓮葉の上の露のように、錐の先の芥子のように、諸々の欲情に
汚されない人、 ーー かれをわれは ( バラモン ) と呼ぶ。
 
強く あるいは弱い生きものに対して暴力を加えることなく、殺さず また
殺させることのない人、 ーー かれをわれは ( バラモン ) と呼ぶ。
 
この世の禍福いずれにも執著することなく、憂いなく、汚れなく、
清らかな人、 ーー かれをわれは ( バラモン ) と呼ぶ。
 
快楽と 不快とを捨て、清らかに涼しく、とらわれることなく、全世界に
うち勝った英雄、 ーー かれをわれは ( バラモン ) と呼ぶ。