ブッダの言葉 ( ダンマ・パダ ) 10

                             ブッダの言葉 ( ダンマ・パダ ) 10
 
 
 
 
ものごとは 心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。
もしも 清らかな心で話したり 行ったりするならば、福楽は その人に
つき従う。 ーー 影がそのからだから離れないように。
 
道に思いをこらし、堪え忍ぶことつよく、常に たけく奮励する、思慮ある
人々は、安らぎに達する。 これは無上の幸せである。
 
うず高い花を集めて 多くの花飾りをつくるように、人として生まれ また
死ぬべきであるならば、多くの善いことをなせ。
 
真理を喜ぶ人は、心きよらかに澄んで、安らかに臥す。
聖者の説きたまうた真理を、賢者は つねに楽しむ。
 
深い湖が、澄んで、清らかであるように、賢者は真理を聞いて、こころ
清らかである。
 
人がもしも善いことをしたならば、それを繰り返せ。 善い事を心がけよ。
善いことがつみ重なるのは楽しみである。
 
こわれた鐘のように、声をあららげないならば、汝は安らぎに達している。
なんじは もはや怒り罵ることがないからである。
 
さあ、この世の中を見よ。 王者の車のように美麗である。
愚者はそこに耽溺するが、心ある人は それに執著しない。
 
以前には怠りなまけていた人でも、のちに怠りなまけることが無いなら、
その人はこの世の中を照らす。 ーー あたかも雲を離れた月のように。
 
以前には悪い行いをした人でも、のちに善によってつぐなうならば、
その人は この世の中を照らす。 ーー 雲を離れた月のように。
 
健康は最高の利得であり、満足は最上の宝であり、信頼は最高の知己
であり、ニルヴァーナ ( 安らぎ ) は最上の楽しみである。
 
徳行と見識とをそなえ、法に従って生き、真実を語り、自分のなすべき
ことを行う人は、人々から愛される。
 
久しく旅に出ていた人が 遠方から無事に帰って来たならば、親戚・
友人・親友たちは かれが帰って来たのを祝う。
そのように善いことをして この世からあの世に行った人を善業が
迎受ける。 ーー 親族が愛する人が帰って来たのを迎え受けるように。
 
生きものを殺すことなく、常に身をつつしんでいる聖者は、不死の境地
におもむく。 そこに至れば、憂えることがない。
 
心がむらむらするのを、まもり落ち着けよ。 心について慎んでおれ。
心による悪い行いを捨てて、心によって善行を行え。
 
恥を知り、常に清きをもとめ、執著をはなれ、つつしみ深く、真理を見て
清く暮らす人は、生活し難い。
 
多く説くからとて、そのゆえに かれが賢者なのではない。 
こころおだやかに、怨むことなく、恐れることのない人、
ーー かれこそ ( 賢者 ) と呼ばれる。
 
ただ沈黙しているからとて、愚かに迷い無智なる人が ( 聖者 ) なのでは
ない。 天秤を手にもっているように、いみじきものを取り もろもろの悪を
除く賢者こそ ( 聖者 ) なのである。 かれは そのゆえに聖者なのである。
この世にあって 善悪の両者を秤にかけて測るように、よく考える人こそ
( 聖者 ) とよばれる。
 
ことばを慎み、心を落ち着けて慎み、身に悪を為してはならない。
これらの三つの行いの路を清く保つならば、仙人 ( 仏 ) の説きたもうた
道を克ち得るであろう。
 
 
 
 
 
 
 
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